IT業界の求人倍率は一般職に比べて非常に高く、売り手市場が続いています。
その倍率はレバテックが2022年12月に公開した市場動向では、1.35倍である一般職の求人倍率に比べ、ITエンジニアの求人倍率は15.8倍でした。
IT業界の求人倍率はここ数年急激に上昇しており、この市場動向の結果からもITエンジニアの求人倍率は高止まりが続いています。
そのため異業種や未経験からでも、新たにプログラミングを学ぼうとする人が増えつつあるのです。
この記事では、IT業界への転職を考え、これから勉強を始める方必見のWebプログラミングの基礎知識や知っておきたい便利なツール5選を一挙ご紹介します。
参照:ITエンジニア・クリエイターの求人倍率、15.8倍と高止まり続く – レバテック|エンジニア&クリエイターの採用情報サイト (levtech.jp)
Webプログラミングとは
ここではWebプログラミングの基礎知識として以下の内容をご紹介します。
- Webプログラミングの概要
- Webプログラミングに必要な知識
- Webプログラミングに必要な能力
- Webサイト制作の具体的な流れ
Webプログラミングの概要
Webプログラミングとは、WebアプリケーションやWebサービスの開発(Web開発)のことです。
厳密には、WebプログラミングとWeb開発は異なります。
WebプログラミングはWeb開発の中のプログラミングだけの工程を示します。
それに対しWeb開発とはWebサイトを作る全工程を示すため、クライアントからのヒアリングや、設計なども含まれるのです。
Webプログラミングを行うことでコンピューターに命令し、思い通りの動作ができるのです。
Webプログラミングに必要な知識
Webプログラミングに必要な知識は以下のとおりです。
- Webの仕組みを理解する
- プログラミング言語(HTML/CSSなど)
- UNIXコマンドを知る
- フレームワークを理解する
Webの仕組みを理解する
まず第一にWebの仕組みを理解することが大切です。
私たちが日ごろ何気なく使っているAmazonなどのショッピングサイトやGoogleなどの検索サイトなど、Webサイトはどのように作られているのでしょうか。
Webサイトの仕組みを理解するうえで大切なことは以下の2点です。
- Webサイトの画面には裏表がある
- Webサイトはクライアントとサーバーが連携している
Webサイトの画面には裏表がある
Webサイトの画面には裏表があり、表をクライアントサイド、裏をサーバーサイドと言います。
必要なプログラミング言語 | ||
クライアントサイド | 顧客が直接見る画面のこと | HTML、CSS、Javascriptなど |
サーバーサイド | 顧客が直接目にしない領域 | Ruby、PHP、Python、Javaなど |
クライアントサイドとは、いつも私たちがスマートフォンやパソコンなどで目にしている画面です。
クライアントサイドで主に使われているHTMLは文章や画像を表示する役割をしており、CSSはその文章の配置や背景の色を変えているのです。
それに対しサーバーサイドとは、目に触れないWebアプリケーションやWebサイトの内部を構成しています。
Webサイトをクリックしたときに別のリンクへ飛んだり、情報を収集するなど、言わば裏方の役割をしています。
Webサイトはクライアントとサーバーが連携している
さらにWebサイトではクライアントとサーバーが都度連携しています。
- クライアント:パソコン、スマートフォンなどユーザーが使うデバイスのことで、サービスを受ける側を示す
- サーバー:Webページやデータを保存するコンピュータのことで、サービスを提供する側を示す
クライアント側のプログラムがサーバーに対してリクエストを送信しすることで、サーバーがプログラムを処理します。
サーバーからクライアント側へデータを送信することで、Webサイトの閲覧やサービスの利用が可能になるのです。
これらのWebサイトの仕組みを理解することで、プログラミングの必要性などを理解することができます。
プログラミング言語(HTML/CSSなど)
プログラミング言語は200種類以上あると言われています。
これらのプログラミング言語の使い分けは、目的や用途によって使う言語が以下のように分けられます。
用途 | 主要な言語 |
---|---|
システム開発 | Java・C言語・C#・C++・Python |
Webサイトの作成 | HTML・CSS・Javascript・PHP・Ruby |
スマホ/Webアプリ開発 | Java・Objective-C・Swift・PHP・Ruby・JavaScript・Python |
AI(人工知能)・機械学習 | Python・R・C++・Haskell・Matlab・JavaScript |
ゲーム開発 | C++・C#・JavaScript・Swift・Ruby |
ロボット開発 | C言語/C++/Java/Python |
IoT | C言語・R言語・Java・Python |
また就活においても言語ごとに求人案件が異なります。
特に就職で求められる言語はあるのでしょうか。
レイバックが公開しているプログラミング言語別の求人件数は以下のとおりです。
順位 | プログラム言語 | 求人件数(レバテックキャリア) |
1位 | Java | 6,143 |
2位 | JavaScript | 4,157 |
3位 | PHP | 3,891 |
4位 | Python | 3,855 |
5位 | Ruby | 2,453 |
6位 | C# | 2,370 |
7位 | C、C++ | 1,981 |
8位 | Go | 1,703 |
9位 | HTML、CSS | 1,662 |
10位 | Swift | 1,427 |
なにから勉強しようか迷っている方はぜひこれらのプログラミング言語をご参考ください!
参照:ITエンジニア・ Webデザイナーの求人/転職/採用【レバテックキャリア】≪公式≫ (levtech.jp)
ここではプログラミング言語として最も代表的なHTMLやCSS、Java、JavaScript、PHPについて詳しくご紹介します。
HTML
HTMLは前項の【Webサイトの画面には裏表がある】でもご紹介したように文章や画像を表示するために基本となる役割を担っています。
例えばWebサイトで検索すると、検索したページで右クリックして「ページのソースを表示」をタップします。
すると英語や記号がずらっと並んだ文章が出てきます。
これらの文章をソースコードと呼び、HTMLのソースコードがWebページの中で文章や画像の構成を担っているのです。
HTMLのルールに従って構成されたソースコードを記述したテキストファイルをHTMLドキュメントと呼び、これをブラウザが読み込むことで、Webページが表示されます。
またリンク設定できることもHTMLの特徴です。
関連ページや参考ページなどで貼り付けられたリンクをクリックすることで、別のページにいけることもHTMLの働きによるものです。
CSS
CSSもWebサイトを作るうえで代表的なプログラミング言語で、CSSは文章の配置や背景の色を変えることができます。
そのため前項のHTMLと組み合わせることで、HTMLが文章の構成を行い、CSSが文章の配置や背景を加えることで、私たちが日ごろ目にしているWebページができるのです。
さらに具体的には、文字の色や大きさ、背景などの色の変更ができるため、以下のような作業が可能です。
- 文字や画像の配置(左寄せにするか、中央揃えにするかなど)
- 文字と文字の間隔
- グラデーション背景の作成
- ボタンの作成
- アニメーションの記述
CSSではすべての装飾が可能で、HTMLとセットで使うことで文章や画像などのレイアウト調整を行います。
Java
Javaは前項の【プログラミング言語(HTML/CSSなど)】にもあるように、主にシステム開発やWebアプリ開発に用いられています。
Javaの特徴は以下のとおりです。
- コンピュータの環境が異なっていても利用できる
- オブジェクト指向を用いて機能ごとにパーツを分けプログラムを作る
- 不要なデータは自動で削除される
- スマホや家電、自動車に組み込めるシステムが作れる
- あらゆるものをインターネットに繋げられる(家電など)
上記は一例ですが、Javaはもともと家電製品の組み込みシステムのために開発されたプログラミング言語です。
Javaが開発される前は、新しい家電製品が開発されるごとにプログラムも開発していました。
しかしJavaが開発されたことで、Javaはどんな製品にも共有して使うことができ、作業効率が格段に上がったのです。
JavaScript
JavaScriptは前項でご紹介したJavaと同じ言葉が入っていますが、Javaとは全く別物です。
Javaはシステム開発やアプリ開発などのさまざまな大規模システムに使用するのに対し、JavaScriptはWebサイトのページ制作に使用します。
HTMLと合わせて使用することで、Webブラウザ上で動くシステムを表示できます。
具体的には、メニューバーにマウスを置くことで、自動的に次のメニューバーを開けるのもJavaScriptの機能です。
他にもGoogle マップをページに組み込んで公開したり、トップページに配置されたメイン画像を次々と切り替えることもできます。
PHP
PHPもHTMLやJavaScriptと同様にWebページを制作できるプログラミング言語ですが、PHPは主にサーバーサイドで使われます。
普段私たちが目にするインターネットのページは静的なWebページと動的なWebページに分かれています。
静的なWebページとは誰がいつみても同じ内容が表示されるページの事を示しますが、動的なWebページとは、アクセスしたタイミングや状況によって表示内容が変わるページのことです。
特にECサイトなどネットショッピングはアクセスするタイミングにより価格が変動します。
それに対し、店舗などのホームページなどは誰がいつみても同じ内容です。
この動的なWebページを作れるのがPHPです。
PHPはHTMLと組み合わせて使うことができます。
他にもPHPはWebサーバー側で処理されるのに対して、JavaScriptはWebページを参照するクライアント側のブラウザで処理されます。
UNIXコマンドを知る
UNIXコマンドとはUNIXというOSに由来したコンピュータに命令するためのプログラミング言語です。
UNIXコマンドの一例は以下のとおりです。
UNIXコマンド | 命令内容 |
pwd | 現在の作業ディレクトリの絶対パスを表示する |
cd | 作業ディレクトリを移動する |
cp | ファイルをコピーする |
mv | ファイルの移動およびリネームを行う |
ほかにもUNIXコマンドは数多くあり、それぞれ命令内容が異なるためすべて覚えるのは難しいですが、一覧にしておくとすぐに検索できるので便利です。
フレームワークを理解する
フレームワークとは、アプリやシステムを開発するための枠組みを示します。
フレームワークを使ってあらかじめ必要な機能を用意しておくことで、アプリ開発をより効率的に進められます。
たとえば、Webページに何か機能をつけたいときに、フレームワークを活用すれば0から作る必要がないため、すぐに実行でき時間の短縮にもつながるでしょう。
言語ごとにそれぞれフレームワークがあるので、セットで勉強することが大切です。
言語 | フレームワーク |
JavaScript | React・Vue.js・AngularJS |
Ruby | Ruby on Rails・Sinatra・Padrino |
CSS | Bootstrap・Foundation・UIkit |
PHP | CakePHP・FuelPHP・Laravel |
Python | Flask・Django |
Java | Spring Framework・Play Framework |
フレームワークを使いこなすことで時間や手間を大幅に削減できます。
Webプログラミングに必要な能力
Webプログラミングに必要な能力は以下のとおりです。
- 論理的思考
- タスク管理能力
- 問題解決力
文部科学省が小学校から高等学校までプログラミング教育を導入したねらいに、子供たちのプログラミング的思考を育成することが挙げられます。
このプログラミング的思考とは、文部科学省が定める小学校プログラミング教育の手引きで以下のように表現されています。
「自分が意図する一連の活動を実現するために、どのような動きの組合せが
必要であり、一つ一つの動きに対応した記号を、どのように組み合わせたら
いいのか、記号の組合せをどのように改善していけば、より意図した活動に
近づくのか、といったことを論理的に考えていく力」
引用:小学校プログラミング教育の手引(第三版) (mext.go.jp)
このようにプログラミング的思考とは、コンピューターを命令でひとつひとつ順番に動かしすために、論理的な思考をもって順序立てて考えていくことが大切です。
さらにコンピューターが自分の予想と違う動きをするとき、どこが悪かったのか振り返って問題を解決するために、考えていくことも求められます。
他にもWebアプリケーションの開発では、細かくスケジュールを組むため、ひとつずつタスクに落とし込んで仕事を進めていくことになるためタスク管理能力も必要です。
以上のことから、Webプログラミングには文部科学書がプログラミング教育にも取り入れているようなプログラミング的思考が求められます。
Webサイト制作の具体的な流れ
ここではWebプログラミングのイメージをつけるために、Webサイト制作の具体的な流れをご紹介します。
Webサイトを作る流れは大きく分けて5つあります。
- 企画
- 設計
- デザイン制作
- 実装
- 公開
企画
まずはWebサイトを作るために以下を考えましょう。
- 目的
- ゴール
- メインユーザーのターゲット層
- Webサイトのコンセプト
例えばECサイトとしてインターネットショップを開くことや、自身の趣味をブログにするなどWebサイトを作る目的は人によって様々です。
目的と一緒にゴールを考えておくと継続や、やりがいに繋がります。
さらにWebサイトのメインユーザーのターゲット層を明確にしておくと、ユーザーが求める情報を集め、効率よくWebサイトを運営ができます。
最後に、目的・ゴール・メインユーザーのターゲット層からWebサイトのコンセプトを考えていきましょう。
コンセプトはプロジェクトの基本方針となり、今後の設計やデザインなどのすべての作業で指針となります。
Webサイトの設計
Webサイトの設計にはサイトの構造図(ワイヤーフレーム)を作成することが大切です。
ワイヤーフレームを作成することで、コンテンツをどこに配置するか、情報設計を行っていきます。
また情報設計は、ターゲットの視点で考える必要があります。
ターゲットの悩みや不満を解決し、購買などのコンバージョンに結びつけるためにはどのような導線が必要か、意識して設計していきましょう。
デザインの制作
Webサイトの設計が完了すればデザインの制作に入ります。
デザインの制作では、はじめに決めたコンセプトを基に適切なビジュアルに落とし込むことが大切です。
デザインコンセプトに沿って、Webサイトで使用する画像やイラストを探します。
素材の準備ができたら各ページのデザイン制作を始めます。
デザイン制作の際は、ページごとにデザインの違和感はないか、ビジュアル化した時に印象がずれないかなど、チェックが必要です。
実装
ここではWebサイトとして機能させるために、Webプログラミングを行っていきます。
WebプログラミングでWebサイトを制作する際、前項の【Webの仕組みを理解する】でもご紹介したように、フロントエンドとサーバーエンドに分けてプログラムをコーディングします。
さらにサーバー設定やドメイン設定も必要です。
サーバーとはデータの格納庫を示し、自社サーバーやレンタルサーバーなどがあり、契約することで利用できます。
ドメイン設定を行うことでURLを取得でき、サーバーとドメインの紐付けを行います。
公開
公開する前に、テストを実施しておくことがおすすめです。
テストで問題なければWebサイトの完成になります。
公開時にすべてのコンテンツを完成しておく必要はなく、公開後に順次機能やページを追加することで徐々に増やしてくことも可能です。
また公開後はアクセス解析などのサービスを利用し、視聴者数や、どのような人に見られているかなどを随時チェックしながら運営していきましょう。
Webプログラミングの開発に知っておきたい便利なツール
Webプログラミングは約半数の人が独学で勉強しています。
しかし約90%の人が挫折してしまうと言われており、その理由は「エラーを解決できなかった」「わからない所を教えてもらえる環境がなかった」などと言われています。
そのためWebアプリを開発しようと思っていても、思ったように進まず、行き詰ってしまう人も多々あります。
ここでは行き詰った時に知っておきたいアプリ開発におけるWebプログラミングの便利なツールを5つご紹介します。
- Vagrant
- SourceTree
- Sip
- Evernote
- CodePen
Vagrant
Vagrantを使うことで仮想開発環境を構築できるため、本番環境と同じ環境を構築して予期せぬ事態を防ぐことが可能です。
Webアプリを動作する際、ほとんどの場合開発環境と本番環境が異なります。
そのため本番環境で思わぬバグが生じることも多々あります。
Vagrantで事前に確認しておけば、本番環境でのトラブルを減らすことができるでしょう。
SourceTree
プログラムなどの変更履歴を記録・管理するために使われるGitは使われる機会が多々ありますが、操作が難しいため挫折する人も数多くいます。
そのようなGitを使用する際、SourceTreeを使えば、Gitで使われる黒画面でもソースコードの状況がわかりやすくなるため、Gitに慣れていない方でも安心して作業を進められます。
Mac/Winどちらでもすぐインストールでき、無料で使えるので便利です。
Sip
カラーを設定する際、コードでカラーを指定してもコードだけではカラーが分からないため、プレビューで確認したり、プログラムを試しに実行して確認する必要があります。
SipがあればカラーピッカーでRGBや16進数などのカラーコードを指定する際、その色を確認しながら作業を進められます。
Evernote
Webプログラミングを行う際、覚えておくことが非常に多いためEvernoteで情報を管理しておくことがおすすめです。
Evernoteは基本有料ですが、機能は制限された無料版もあります。
有料版と無料版の違いは以下のとおりです。
端末間での同期 | ノートのサイズ | 月間アップロード容量 | |
有料版 | 端末数の制限なし | 200MGまで | 10GBまで |
無料版 | 2台まで | 25MGまで | 60MGまで |
CodePen
CodePenではオンラインエディタで、多くの優れたコードが投稿されています。
そのため他のエンジニアのコードを参考にしながら、HTMLやCSSなどプログラミング言語のコードの学習に便利です。
さらにCode Penを使うと、Webブラウザ上でコードを入力しながら、実際にどのような感じでWeb上に反映されるか確認できるため、作業を効率的に進められるでしょう。
まとめ
この記事ではIT業界への転職を考え、これから勉強を始める方必見のWebプログラミングの基礎知識や知っておきたい便利なツール5選をご紹介しました。
Webプログラミングは、Webサイトの制作やWebアプリ開発のために必要な工程のひとつです。
プログラミング言語は200種類あると言われており、目的や用途によって使用するプログラミング言語が異なります。
プログラミング言語を理解し使いこなすことで、様々な求人に応募することも可能です。
IT業界は以前、長時間労働や休日出勤で問題となっていましたが、働き方改革が進められ、長時間労働を改善する企業が増え、待遇も良くなりつつあります。
待遇が良くなり、売り手市場であれば、プログラマーやエンジニアへの転職を目指す方が増加しています。
IT業界に興味がある方は、ぜひWebプログラミングを学んでIT業界へチャレンジしてみてください。
プログラミングに興味があるなら会員登録不要で無料のプログラミング学習サービス「Dig Skill」がおすすめ!登録不要なので自分に合わないと思ったらすぐ辞めれるし無料なので気軽に始めてみよう。
ソフトウェア会社がつくった学習サービスなのでスキルは間違いなく身につくでしょう。